相続放棄した不動産はどうなる?その後の管理や対処法も解説

ご実家や土地などの不動産について、管理が難しいため相続放棄を検討しているものの、その後どうなるのか分からず不安に感じていませんか。
たとえ相続を放棄したとしても、不動産の管理義務から直ちに解放されるわけではありません。
この記事では、相続放棄された不動産の法的な流れから、残された空き家の管理責任、さらにリスクと対処法までをわかりやすく解説いたします。
将来の思わぬトラブルを未然に防ぎたいとお考えの方は、ぜひこの記事をご参考になさってくださいね。
- この記事の要点
- Q:相続放棄した不動産の固定資産税は誰が払うことになりますか?
- A:相続放棄をして相続人でなくなれば固定資産税の納税義務は原則として負いません。
理由は、固定資産税は毎年一月一日時点の所有者に課されるためです。
占有者の保存義務とは別の論点なので、自治体の課税名義と請求の根拠を確認することが大切です。
相続人全員が放棄した不動産はどうなる?

相続放棄は負債を回避できる一方で、手放した不動産(空き家)が宙に浮いてしまうという問題も生じます。
まずは、相続人全員が不動産を相続放棄した場合の、所有権の行方について解説していきます。
相続財産法人と国庫帰属
相続人が誰もいなくなった財産は、裁判所の監督のもとで、「相続財産法人」として一体的に管理されます。
いわば財産の受け皿であり、清算のための仮の器だといえます。
ただし、相続放棄だけで自動的に動くわけではなく、利害関係者の申立てが必要です。
申立てがされなければ、名義の空いた不動産が長期間放置されるおそれがあります。
そのため、早めに制度の利用を検討する姿勢が、近隣への影響を抑えるためにも大切です。
財産清算人選任の手続き概要
相続財産清算人の選任申立ては、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所でおこないます。
申立人になれるのは、債権者などの利害関係者か検察官であり、相続人全員の放棄を示す受理証明書などの資料が求められます。
また、戸籍謄本一式や登記事項証明書、固定資産評価証明書の提出も必要です。
費用は、収入印紙800円や郵便切手、官報公告費用などが発生します。
清算人の報酬は、原則として財産から賄われますが、財産が乏しい場合は、数十万円~100万円程度の予納金を求められることがあります。
一時的な費用負担はあっても、最終的にご自身の権利を守り、債権の回収につなげるためには不可欠です。
所有権移転の登記と必要書類
清算人が選任されると官報で公告され、財産調査と目録作成が進みます。
債権者には2か月以上の申出期間を与え、弁済を終えたうえで残余財産の扱いに移ります。
その後、相続人の有無を確認するために、6か月以上の期間を設けて再度公告がおこなわれる流れです。
なお、相続人が見つからず特別縁故者もいない場合、残余財産は国に帰属します。
不動産は、清算人から財務局へ所有権移転登記をして、手続きが完了します。
これらは、全体で1年以上かかることもあるため、書類や領収書を整理しながら段階的に進めるようにしましょう。
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相続放棄後の不動産は誰が管理義務を負うのか

前章で、不動産の所有権の行方について述べましたが、実際に放棄後の家は誰が管理するのでしょうか。
ここでは、相続放棄後の家を誰が管理するのか、その義務について解説いたします。
民法改正で定められた保存義務
相続を放棄しても、直ちに管理責任から離れられるとは限らない点に、注意が必要です。
これまでは、次の相続人などが管理を始めるまで、放棄した相続人が継続管理を求められるとされていました。
しかし、2023年4月施行の改正民法では、放棄時点で不動産を「現に占有している」方に限り、保存義務を負うことが明確化されました。
占有とは、鍵の管理や継続的な出入り、公共料金の契約状況など、実際にその不動産を管理・利用している状況から判断されます。
保存義務の内容は、点検や草刈り、必要な応急修繕など、資産価値と安全を保つために必要な管理となっています。
なお、無理のない範囲で危険を防ぐことが、近隣住民との良好な関係を保つことにもつながるでしょう。
占有者がいる場合の管理責任
同居していた相続人が放棄したケースでは、占有者に当たる可能性が高く、清算人が選任されるまでの管理が求められます。
管理を怠り、雨漏りや倒壊、塀の転倒などで第三者に被害が出た際には、損害賠償を問われるおそれがあります。
一方で、遠方で長年関与していない相続人は占有とはいえず、原則として保存義務を負いません。
改正により、関係の薄い方に重い負担が及ぶリスクは、小さくなったといえます。
なお、占有している相続人に該当しているのかは、出入りの頻度や鍵の所在、公共料金の名義といった客観的事情を整理し、総合的に判断する姿勢が大切です。
必要に応じて専門家へ相談し、早期に清算人選任の申立てを検討しましょう。
管理費用の立替えと清算方法
固定資産税や応急修繕費を立て替えた場合、領収書を添えて後日清算人に請求できます。
ただし、相続財産に現金が乏しい場合、全額が戻らない可能性もあります。
費用を払う前に関係者と情報を共有し、負担の分担や支払い順序を確認しておくことが望ましいです。
もっとも重要なのは、負担を長期化させないために、速やかに清算人の選任申立てをおこなうことです。
清算人が決まれば正式に管理を引き継ぎ、費用精算も法的な手続きに乗るため、個人の負担は軽減します。
また、作業記録や写真を残す工夫が、後の精算で根拠を示すうえで役立つでしょう。
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相続放棄された空き家の放置によるリスクと売却・処分の対処

ここまで、相続放棄後の管理義務を解説しましたが、空き家を放置することによる危険性と、具体的な処分方法もおさえておきましょう。
最後に、相続放棄で空き家になった場合の危険性と対処について、解説していきます。
倒壊・火災・第三者侵入の危険性
管理されない空き家は老朽化が進み、屋根や外壁の脱落、倒壊の危険が高まります。
被害が第三者に及べば、損害賠償の対象となる可能性が高いでしょう。
また、放火や不審火の標的になりやすく、不法侵入や不法投棄の温床にもなり得ます。
法的にも「特定空家等」に認定されると、勧告に従わない場合に、固定資産税が最大6倍となるおそれがあるため、注意が必要です。
さらに、最終的には行政代執行で解体され、費用負担を求められるケースも想定されます。
そのため、定期巡回や通電確認、ポスト管理、防犯対策を講じる工夫が、事故と犯罪の芽を抑えるうえで重要です。
財産清算人による売却・処分
安全上の問題を防ぎ、円満に手続きを終わらせるためには、相続財産清算人の制度活用が基本線です。
選任後は任意売却の許可を家庭裁判所から得て、不動産会社へ仲介を依頼し、買主探索と売却手続きを進めましょう。
売却代金は清算人の報酬や管理費用、税金、債権者弁済に充てられる仕組みです。
なお、通常の売却で買主が見つからない場合は、不動産競売で換価することもあります。
市場価格と解体費のバランスを見極め、現実的な販売条件を設定する視点が大切です。
地域の相場感を踏まえた販売計画が、スムーズな売却につながるでしょう。
自治体制度を活用した維持管理
清算手続きと並行して、自治体の支援制度の活用する方法も検討しましょう。
多くの自治体には解体補助制度があり、要件を満たせば費用の一部を補助してもらえるでしょう。
負担を抑えて更地化できれば、売却や活用の選択肢が広がります。
また、自治体の「空き家バンク」に登録し、買主や借主を探す手もあります。
選任された相続財産清算人は、売却が難しい土地について「相続土地国庫帰属制度」を活用し、国に引き取ってもらう手続きをおこなうことも可能です。
なお、制度の可否や必要書類は自治体や法務局で異なるため、窓口で早めに確認することが大切です。
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まとめ
相続人全員が放棄した不動産は、選任された「相続財産清算人」が清算手続きをおこない、最終的に国の所有となります。
放棄後の管理義務は、民法改正により「現に占有している」方のみに限定されたため、ご自身が該当するかどうかの確認が重要です。
空き家を放置すると倒壊などのリスクがあるため、相続財産清算人制度や自治体の支援を活用し、早期に処分することが望ましいです。
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