登記完了後に相続放棄できる?基礎知識や進める方法についても解説

遺産相続の手続きを進めるなかで、「他の相続人が相続放棄をした場合の不動産登記はどうしたらよいのか」「一度登記をした後でも放棄はできるのか」と悩んでいませんか。
相続に関する手続きは複雑で、法律上のルールを正しく理解していないと思わぬトラブルに発展したり、本来認められるはずの権利を失ったりしてしまうリスクがあります。
本記事では、相続登記と相続放棄の基本的な仕組みから、放棄者がいる場合の登記申請の手順、さらに登記完了後の放棄に関する判断基準までを解説いたします。
不動産の相続手続きを円滑に進め、将来的なトラブルを未然に防ぎたいとお考えの方は、ぜひご参考になさってくださいね。
- この記事の要点
- Q:相続放棄をした人も相続登記の義務や過料の対象になりますか?
- A:相続放棄をした方に相続登記の義務はありません。
理由は、放棄が受理されると初めから相続人ではなかったとみなされ、不動産の取得権利が生じないためです。
登記義務や過料の対象となるのは、不動産を取得した相続人のみであり、放棄者は手続きに関与しないことが大切です。
相続登記と相続放棄を正しく理解する基礎知識

相続の手続きには主に不動産の名義変更である「相続登記」と、財産を一切受け継がない「相続放棄」があります。
まずは、これら2つの手続きの基本的な定義と、法定相続分による登記について解説していきます。
相続登記の役割と義務化
相続登記とは、被相続人の名義になっている不動産を相続人へ移し、権利関係を明確にする手続きです。
登記をおこなうことで第三者に権利を主張できるようになり、売却や担保設定といった次の段階も検討しやすくなるでしょう。
名義を未登記のままにしておくと、次の相続が発生した際に関係者が増え、連絡や書類収集が煩雑になる可能性があります。
こうした事態を防ぎ手続きを円滑にするため、2024年4月1日より相続登記が義務化されました。
義務化に伴い、取得を知った日から3年以内の申請が必要となり、正当な理由なく期限を過ぎると10万円以下の過料が科される場合もあります。
相続放棄の定義と家庭裁判
相続放棄とは、プラスの財産だけでなく借金などの債務も含め、一切の権利義務を受け継がないという意思表示のことです。
民法上、放棄をした方は初めから相続人ではなかったとみなされるため、遺産分割協議の前提が変わる点が特徴と言えます。
単なる口約束では効力が生じないため、家庭裁判所へ相続放棄の申述をおこない、正式に受理されなければなりません。
申述は、被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所へ書面を提出する必要があり、期限の管理も重要です。
熟慮期間と呼ばれる検討期間は、原則として相続の開始を知った時から3か月以内と定められています。
法定相続分での共有名義
通常は遺産分割協議で合意後に名義変更へ進みますが、協議が整わない場合でも、法定相続分に従った共有名義での登記は可能です。
法定相続分とは法律で定められた取り分であり、判断に迷った際の基準となります。
なお、この登記は保存行為にあたるため、相続人の1人が単独で申請でき、他者の承諾がなくても手続きを進められるのが特徴です。
ただし、将来の売却には共有者全員の同意が必要になるため、最終的には協議をおこない、状況に合わせた名義へ整えることが大切です。
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相続放棄者がいる場合の相続登記を進める方法

前章では、各用語の基礎知識について述べましたが、実際に放棄者がいると手続きが変わります。
ここでは、相続放棄した人がいるケースで残りの相続人が相続登記を行う方法について解説いたします。
放棄者を除いた登記の手順
相続放棄が受理されると、その方は初めから相続人ではなかったものと扱われ、登記申請の対象からも除外されます。
そのため、放棄者を除いた残りの相続人のみで相続関係を整理し、登記内容を決定していくことになります。
法定相続分も放棄者を除いて再計算し、申請書には新しい割合に基づく持分を正確に記載することが必要です。
まずは、戸籍などで相続人と放棄の事実を確認し、不動産の取得者を決めて、協議が整えば遺産分割協議書を作成します。
必要書類をそろえて法務局へ申請することで、登記手続きは円滑に進められるでしょう。
申述受理通知書などの書類
放棄された方がいる場合の登記では、家庭裁判所が申述を受理したことを証明する書類を、添付情報として用意する必要があります。
代表的な書類には、「相続放棄申述受理通知書」や「相続放棄申述受理証明書」があります。
通知書は、申述が受理された時点で交付される書類ですが、証明書は必要に応じて別途発行を請求するものです。
放棄された方の手元に通知書がある場合でも、手続きをおこなう相続人が別途証明書を取得しておきましょう。
くわえて、戸籍や不動産に関する資料も揃えることで、登記官が相続人の範囲を把握でき、手続きが円滑に進むようになります。
放棄者の登記義務と権利
相続放棄をした方は相続人としての地位を失うため、不動産を取得する権利はなく、名義人になることもありません。
したがって、相続登記をおこなう義務も発生せず、申請書類への署名や押印も原則不要となります。
一方で、残りの相続人が手続きを進めるためには、放棄が受理された事実確認が不可欠のため、書類は共有しておくことが大切です。
また、放棄後は相続財産に関与しない姿勢が求められるため、管理や手続きは不動産を引き継ぐ側が主導しておこないます。
こうした役割分担を明確にしておくことで、放棄された方がいる場合でも、落ち着いて相続登記を進められるでしょう。
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相続登記が完了した後に相続放棄はできる?

ここまで、相続放棄後の登記について解説しましたが、順序が逆になってしまった場合のルールもおさえておきましょう。
最後に、一度相続登記がなされた後に、相続放棄が可能かどうかの判断基準と対応について、解説していきます。
単純承認とみなされる原則
相続登記を自ら申請して名義を変更する行為は、財産を相続する意思表示と受け取られる可能性が高くなります。
登記は、第三者に対する権利主張の手段でもあるため、原則として単純承認とみなされる点に注意しましょう。
また、相続放棄は単純承認をしていないことが前提となるため、登記申請の前に方針を固めておくことが重要です。
借金を含めた財産全体を把握し、相続か放棄かを決めたうえで、家族とも認識を共有しておくと安心です。
判断に迷う場合は熟慮期間の伸長を申し立て、資料収集を進めながら慎重に判断すると良いでしょう。
例外的に放棄が可能な場合
例外として、本人が知らない間に他の相続人が法定相続分で相続登記をしていた場合は、後からでも放棄できる可能性があります。
自分の名前が登記されていても焦らず、登記の経緯と熟慮期間の残日数を確認し、申述の準備を進めましょう。
ただし、放棄には家庭裁判所への申述が必要であり、相続の開始を知った時から3か月以内という期限は変わりません。
そのため、いつ、誰が申請したのかを調べ、意思による登記ではないと説明できるよう資料を整理しておくことが大切です。
判断が分かれる場合もあるため、専門家へ相談し、見通しを立てておくと安心です。
登記内容の修正と名義変更
例外的に相続放棄が受理されても、登記簿上には放棄した方の持分が残る場合があります。
そのため、実態に合わせて名義を整えるには、持分移転登記などで放棄した方の持分を他の相続人へ移す手続きが必要です。
申請時は、相続放棄申述受理通知書や受理証明書など、放棄の成立を示す書類を添付し、登記原因を明確にします。
また、名義の修正は将来の活用や処分にも関わるため、関係者で目的を共有し、慎重に進めることが大切です。
登記手続きと家庭裁判所の手続きが絡むため、期限を意識し、順序立てて対応しましょう。
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まとめ
相続登記は2024年から義務化されましたが、資産だけでなく負債も引き継がない相続放棄を選ぶ場合は、3か月以内に家庭裁判所への申述が必要です。
相続放棄が受理されると、その方は初めから相続人ではなかったものとみなされるため、登記申請は残りの相続人のみでおこないます。
原則として自ら登記申請をおこなうと単純承認とみなされますが、自身の関与なく登記された場合などは、例外的に放棄が認められるケースもあります。
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