実家が空き家に?対策となる家族信託の利点についても解説

将来ご両親から実家を相続した際、使い道がなく空き家になってしまうのではないかという不安でお困りではありませんか。
事前の対策をおこなわないまま所有者が認知症などで判断能力を失うと、不動産の売却や修繕の契約が難しくなり、空き家の管理に支障が出るおそれがあります。
本記事では、そのような将来の空き家トラブルを未然に防ぎ、大切な財産をご家族で円滑に管理・承継するための有効な解決策である「家族信託」の仕組みやメリットについて解説します。
いずれ実家などの不動産を相続する予定があり、今から安心できる確実な備えをしておきたい方は、ぜひご参考になさってくださいね。
- この記事の要点
- Q:親が認知症になってからでも、空き家対策として家族信託を始められますか?
- A:親が契約内容を理解できない状態では、新たに家族信託を始めることは難しいです。理由は、家族信託は本人の意思に基づく契約であり、認知症の診断の有無ではなく、契約時の判断能力が重要になるためです。判断能力に不安がある場合は成年後見制度なども検討する必要があるため、実家の管理や売却について弊社にご相談ください。
空き家が増加する原因と高齢化・相続の影響

空き家対策を考える上で、まずは空き家が増加している背景やその主な原因についておさえる必要があります。
また、社会問題化する空き家の現状と、増加の理由について解説していきます。
空き家問題の現状
日本全国の空き家は約900万戸に達し、総住宅数に占める割合も13.8%と過去最高になっています。
なかでも賃貸や売却などに使う予定のない空き家は約385万戸あり、今後の管理方法を考える必要があるでしょう。
管理が行き届かないと屋根材の飛散や害虫の発生などが起こり、近隣の暮らしにも影響しかねません。
また、管理状態によっては自治体から「管理不全空家」として勧告を受け、敷地の固定資産税を軽減する住宅用地特例の対象から外れる場合があります。
そのため、空き家になる前に点検や修繕を担う人を決め、費用の分担も家族で話し合っておくと安心です。
相続遅延と高齢化
高齢の親が一人で暮らし、子どもは別の地域に住んでいる家庭では、将来、実家を使う人がいなくなることがあります。
また、親が介護施設に入所した時点で空き家になる場合もあるため、相続を待たずに管理や活用の方針を話し合っておきたいところです。
親が亡くなった後も、相続人の間で引き継ぐ人が決まらなければ、売却や修繕に向けた手続きが進みにくくなります。
さらに、固定資産税や解体費用を誰が負担するかについても、家族間で確認が必要でしょう。
2024年4月から相続登記は義務化されているため、相続後は所有関係を明確にする手続きも速やかに進めてください。
認知症と空き家放置
所有者が認知症などで判断能力を失うと、本人が不動産の売却や賃貸、大規模な修繕の契約を結ぶことは難しくなります。
家族でも本人に代わって自由に財産を処分できないため、実家の売却代金を介護費用に充てる計画も進めにくいでしょう。
このように財産を動かせない状態を資産凍結といい、実家が空き家になる可能性を踏まえた事前の備えが大切です。
一方、成年後見制度は本人の財産保護を目的とする制度で、居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要になります。
そこで、親の判断能力が十分なうちに家族信託を検討し、管理を任せる人と活用方針を決めておく方法があります。
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空き家対策に役立つ家族信託制度の仕組み

前章では空き家が増加する原因について述べましたが、その解決策として家族信託が注目されていますよね。
ここでは、空き家を適切に管理・承継するための家族信託の仕組みについて解説します。
家族信託の基本概念
家族信託は、財産の所有者が信頼できる家族に管理や処分を託し、契約で決めた目的に沿って運用してもらう仕組みです。
財産を託す人を委託者、管理を担う人を受託者、財産から生じる利益を受け取る人を受益者と呼びます。
たとえば親が委託者と受益者を兼ね、子どもを受託者にすれば、管理は子どもに任せながら利益を親に残せるでしょう。
この形は自益信託と呼ばれ、受託者は契約で認められた範囲で実家の賃貸や売却などを進められます。
そのため、将来親の判断能力が低下しても、子どもが契約に沿って管理を続け、空き家の状況に応じた対応を取りやすくなります。
信託登記と契約手順
まずは親子で実家をどのように管理するか話し合い、目的や子どもに任せる権限を信託契約書にまとめます。
契約書は私文書でも作れますが、内容を明確にし、登記などの手続きを進めやすくするため、公正証書の利用も検討すると良いでしょう。
次に法務局で所有権移転登記と信託登記をおこない、不動産を信託財産として扱うことを示します。
登記後は受託者が名義上の所有者になる一方、不動産から生じる利益は受益者である親が受け取る仕組みです。
また、受託者は修繕や換気を担い、賃料や売却代金を自分の財産と分けて管理して、親の生活費などに活用します。
契約時の注意点と実務
契約では、空き家の管理という目的にくわえ、受託者が売却や賃貸、修繕、解体をできるか具体的に決めておきます。
権限が契約に含まれていないと、必要になった際に希望する対応を取りにくいため、親の施設入所後の活用まで見据えることが大切です。
また、親の死亡時など信託を終える条件と、終了後に残った不動産やお金を受け取る人も明確にしましょう。
たとえば長男を受託者にして売却権限を定めれば、条件に沿って実家を売り、代金を親の施設費に充てられます。
ただし、家族構成や希望する承継方法によって適切な内容は異なるため、登記や税務に詳しい専門家にも相談しながら進めると安心です。
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家族信託で空き家対策をおこなう3つのメリット

ここまで家族信託の仕組みや手続きを解説しましたが、実際に活用する上での具体的な利点もおさえておきましょう。
最後に、家族信託で空き家対策をおこなうメリットについて解説していきます。
贈与税の負担軽減
親を受益者とする自益信託なら、子どもに管理権限を任せても、不動産から生じる経済的な利益は親に残ります。
一方、生前贈与で不動産を子どもへ移す場合は、贈与税や不動産取得税の負担を考慮しなければなりません。
自益信託では契約時に利益を受け取る人が変わらないため、信託の設定自体を理由とする贈与税や不動産取得税は原則として生じない仕組みです。
ただし、信託登記には登録免許税がかかり、親の死亡後に受益権を引き継ぐ際は相続税の検討も必要になります。
そのため、税額は家族構成や財産の内容によって異なることを踏まえ、契約前に税理士へ確認しておきましょう。
柔軟な空き家の処分
信託契約で売却や賃貸、修繕などを受託者の権限に含めれば、親の判断能力が低下した後も実家の状況に合わせて対応できます。
たとえば入居希望者がいれば賃貸を検討し、維持管理が難しくなれば不動産会社に相談して売却を進められるでしょう。
また、成年後見制度で居住用不動産を売る際には家庭裁判所の許可が必要ですが、家族信託では契約で定めた権限に沿って受託者が判断できます。
売却代金や賃料は親のための財産として区分して管理し、施設費や生活費に充てることが可能です。
ただし、受託者ができることは契約内容によって決まるため、将来想定される使い道を事前に整理しておきましょう。
確実な承継と争族防止
家族信託では、親の次に利益を受け取る人を契約で決め、将来の財産承継に家族の希望を反映できます。
たとえば父親の後は母親、その後は子どもという順番を定める受益者連続型信託なら、法律上認められる期間内で承継を設計できるでしょう。
また、実家の管理を受託者に任せながら、賃料などを受け取る権利を複数の家族に分けることも可能です。
そのため、管理の担当者と利益の分け方をそれぞれ明確にし、家族間で認識をそろえやすくなります。
ただし、契約だけで意見の違いがなくなるわけではないため、次の受益者や信託終了後の財産の行き先を事前に話し合うことが大切です。
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まとめ
日本全国で空き家が増加する主な原因には高齢化や相続の遅れがあり、所有者の認知症によって実家の資産が凍結される前に、家族間で話し合い対策を進めることが大切です。
空き家対策として注目される家族信託は、信頼できる家族に不動産の管理や処分を託し、事前の契約と登記手続きを通じて、本人の目的に沿って運用してもらうための制度です。
家族信託を活用する3つの利点として、贈与税の負担を抑えられる場合があるほか、柔軟な空き家処分や財産承継を設計しやすくなることが挙げられます。
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